審査評

審査にあたられた大友義博、小野月世、両作家審査委員から「審査評」をいただきました。

大友義博

(おおとも よしひろ/画家・日展会員・白日会常任委員)

 

 今回初めて「jam公募展」の審査をさせていただいた。メーカーや画材店の方々も審査に加わるというユニークな公募展、また作品サイズも小さく、普段とは少し勝手が違っていたが新鮮な目で審査に臨ませていただいた。
 公募展のレベルは全体的に高いものだった。F4号というサイズも良いのか密度もあり、それぞれ魅力的であった。
 審査のポイント、地元ならではの風景であるか…決して観光名所の絵ハガキのようなものではなく、作家本人のまなざしで発見した風景を、絵画的な構築で描いた作品の評価が高かった。大賞作品「天日干し」は、まさにこの2点において優れていた。
 特筆すべき点は、額装も審査対象になること。確かに、額装と作品の関係は役者と衣裳の組み合わせのように、相乗効果で作品がさらに引き立って見えることもあるし、間違えば残念な見え方になってしまうこともあり、とても重要だ。他の公募展でも額装の出来が作品の見栄えまでに影響する場面を何度となく見てきた。今回も作品が額と合っていないという理由で惜しくも賞を逃すという例もあった。
今後は、若年層の出品がますます増えることを期待している。

 

小野月世

(おの つきよ/画家・日本水彩画会常務理事)

 

 このたび、初めて「jam公募展」の審査に携わらせていただきました。公募団体やその他の審査である程度の審査経験はありましたが、このコンクールでは全国のアマチュアの方々が様々な画材で表現した作品が集まるとのことでしたので、いったいどんな作品に出合えるのだろうと期待を膨らませて審査に臨みました。回数を重ねるごとに応募数も増加しているとのことで、第5回を迎える今回も沢山の応募作品の中から選定していくこととなりました。
 審査に残った作品はやはりどれも力作で甲乙つけがたいものでしたが、一緒に審査された大友先生とほぼ意見は一致し、大賞、審査員特別賞はスムーズに決まりました。
 大賞に選ばれました方田さんの作品は三重の名物のサンマの丸干しの風景で、その構図の面白さ、モチーフの選び方で群を抜いていました。そこに行ったことのない鑑賞者にも、ストレートに情景と郷土愛を伝えてくれる優作です。審査員特別賞の小方さんの作品は一見モノクロのようですが、日本画の画材のマチエールを巧みに使い、奥行きと抒情を感じさせる美しい作品です。河内さんの作品は、ご主人の雨宿りに付き合う忠犬の真直ぐな目の表情が我々の心を掴んでしまいました。決して風光明媚な場所ではありませんが、普段の散歩ルートのしかも雨模様とは少しがっかりなお天気の中でも楽しむ術を知る日常を、愛情をもって描いたところに好感が持てました。十文字さんの「種差海岸」は油彩画としての技術もさることながら、空を描くことでその向こうに広がる海を想像させる作品です。海はほんの僅かに左端に光り、右端の白い灯台でそこが海辺と気付かせる、画面以上の広がりと空気を感じさせる作品です。
 今回入賞された方々はもちろん、入選作品の、技巧だけに捉われず、思い思いに工夫をした様々な表現は画材の可能性を広げてくれるものでした。次回また皆さんの郷土愛と画材愛に溢れた作品と出会えることを楽しみにしております。